沈まぬ太陽 アフリカ編 – 山崎豊子

感想おまちしてます!

誰がその怪物のようになれるのか
誰がその怪物に逆らって戦うことができるのか
MONSTER(浦沢直樹) 冒頭 ヨハネの黙示録より

恩地元は、アフリカの大地に沈もうとする夕日を眺めていた。
日本で生活していた頃、恩地は国民航空という会社のエリート社員であった。ある時、恩地は労働組合の委員長を強引に頼まれ、1年という約束でしぶしぶ引き受けることになる。労働組合では、現在まで続いていた過酷な労働条件などの改革を進め、恩地の手腕で数々の改革を実現する。
しかし、国民航空は、組合で輝く恩地のリーダシップを懸念し、委員長を退いたにもかかわらず、海外の僻地へと転勤を命ずる。恩地は「2年」という約束で、会社の指示に従うが、国民航空はストライキを実行した恩地に対して、「アカ」というレッテルを貼り付け、次々と過酷な支店へと転勤させる。
その間、国民航空は、労務政策を進める組合を恐れ、息のかかった人間によって組合の分裂工作を行い、その結果、会社の思惑通りに第二組合の設立に成功するのだった。さらに、それだけではなく、力を失った第一組合にかかわる人間に厳しい人事を言いつけ、仕事を与えず飼い殺しするまでにいたった。
恩地は、そういった国民航空のやり方に憤るが、とどめといわんばかりに、支店すらないナイロビへの勤務を突きつけるのだった。
沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) 山崎豊子
悪いやつは全員老衰で死ね。と思った。
死んでしまえ。死んでしまえあほ。


数十年前の物語になっているが、当時この「沈まぬ太陽」は大反響を呼び、200万部を越えるヒットとなったらしい。それもそうだろう。舞台となっている国民航空のモデルは日本航空(JAL)であり、当時の日本航空は日本を代表する大企業だった。
元記者である山崎豊子さんは、この「沈まぬ太陽」を書くときに、日本航空への取材を申し込んだが、取材は拒否されてしまう。よってこの本は、関係者、日航ジャンボ機墜落事故の遺族などへの取材だけで書かれている、ほとんどノンフィクションの大衆文芸作品だ。
逆に言えば、書かれたほうはたまったもんじゃない。なので、この「沈まぬ太陽」を掲載した週刊新潮を、週刊朝日は痛烈に批判している。まるでこの本に書かれている情報操作のようにね。どっちが正しいのかはわからないが、最初に言ったとおり、悪いやつは死んでしまえばいい。
沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) 山崎豊子
・論談小話:その1 「沈まぬ太陽」 を私は許せない
・論談小話:その2 週刊新潮、「週刊朝日の記事はでたらめ」 と反論
週刊朝日 VS 週刊新潮 日本航空、機長組合の見解
日本航空の見解
アフリカ編では、組合を疎ましく思う会社と、一社員の力の差を見せ付けられることになる。ありきたりの言葉になるが、これが始まりでしかないということを、沈まぬ太陽を読み続けるにつれて、思い知ることになるなんて・・・。
読んでいるとつらいんだけど、知ってよかったとも思えるのだ。

沈まぬ太陽を持って生きていくことは難しい。

これはLa Vie En Roseさんの記事「沈まぬ太陽を持つこと」の言葉。
モンスターは隠れてたくさんいて、自分の中にもいて、人間が一人でも生きている限り死なない。僕は「沈まぬ太陽」というタイトルの中に、「決して沈んでくれない」という部分を感じた。

コメント

  1. Ma より:

    「沈まぬ太陽を持つこと」にTBいただきありがとうございました!「悪いやつは全員老衰で死ねと思った」というところに賢者さんの、優しさを感じてしまいました。事故で、とか、病気で、とかって言わず老衰。
    正しいと思うことをきちんと心に抱いて、まっすぐに生きていくことってとってもとっても難しいですよね。

  2. だい より:

    Maさんこんばんわ。やさしくなんてないですよ。読めば読むほどどうしようもなくて、沈まぬ太陽を持つことの難しさを改めて感じました。

  3. BOOKVADER より:

    山崎豊子 – 沈まぬ太陽 (1999)

    沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)山崎 豊子 おすすめ平均 一人でも多くの人が読むべきですあのとき何があったのか・・・旧態然とした組織の中で荒波に揉まれる主人公…