グランド・フィナーレ – 阿部 和重

感想おまちしてます!

「文学が、ようやく安部和重に追いついた。」らしい。挑戦的な帯だったのでよんでみることにしたが、今まで読んだ芥川賞の作品と同じような印象がうかばなかったのはなぜだろうな。
ある罪を犯してしまい、愛するわが娘と会えなくなった主人公。自己中心的な考えから抜け出せずにいるが、ある2人の少女と出会い、彼自身のグランド・フィナーレの幕があける。
この本で、「勿忘草(ワスレナグサ)」の話が出てくる。

春うららのドナウ川のほとり。ルドルフとベルタは愛し合う関係だった。ある日、2人が川辺を歩いていると、川辺にかわいい花が咲き誇っていた。ベルタはあの花ととってとルドルフに頼むが、その花の付近の流れは速く危険だった。ルドルフは慎重に花へと近づくが、誤って川に転落してしまう。なんとか花をつかみ、ベルタに投げ渡すことはできたが、彼は自力で流れから抜け出すことができない。彼は自分の最後を悟ってか、ベルタにこう叫んだ。
「僕をわすれないで!」

これが「勿忘草」の名前の由来だという。
この言葉を言い残し、ルドルフは死んでしまう。言い残されたベルタはこの後、ルドルフから受け取った勿忘草を一生大事に身につけてすごしたという。
死者から受け取ったメッセージを、死ぬまで受け取ったベルタ。すぐ忘れてしまうことも愛。ベルタのようなふるまいも愛。ルドルフにとってのグランド・フィナーレだ。