ムーディーブルース、あの頃の自分

感想おまちしてます!

Seventh Sojourn (Rmst)The Moody Blues曲名リスト
1. Lost In A Lost World
2. New Horizons
3. For My Lady
4. Isn’t Life Strange
5. You And Me
6. The Land Of Make-Believe
7. When You’re A Free Man
8. I’m Just A Singer (In A Rock And Roll Band)
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プログレッシブ・ロックというらしい。
僕がとても好きな音楽。最近になってその音楽のジャンルがプログレッシブ・ロックということがわかった。
ウィキペディア(Wikipedia)から引用すると、プログレッシブ・ロックは以下のようなものだという。

ロックの表現方法が多様化してゆく流れの中、それまでのシングル用の曲作りから大幅に踏み出した製作姿勢をもつバンドを総称した呼び方。

プログレッシブ・ロックはクラシック、Jazzなどとも融合し、精神までも取り込もうとする音楽らしい。
プログレッシブ・ロックという名前を知ったことは、僕にとってすばらしい発見だった。このプログレッシブ・ロックというつながりから、ピンク・フロイド、キング・グリムゾンという風に、すばらしい音楽の広がりが始まったからだ。
ちょっとだけ、思い出すことがあった。仕事の帰り道、一日で桜つぼみが我慢しきれなくなっているのを見つけた。早く、早く、とあせっているような桜。そんな出会いと別れを感じる桜を見たときに、いつもおんなじことを思い出してしまう。


高校生の頃、ある一言の言葉から高校生活に疑問を持った。その言葉は「自分、どこの中学校?」というありふれた始まりの言葉だ。しかし、顔色を伺うように話しかけてくる人、人、人。みんな仲間を作るのに必死なのだろう。高校生は、悲しいほどよわっちい。そこからこの閉鎖的な性格、人をなめくさった性格が生まれたに違いない。そして、僕もそれをよろこんで受け入れた。
それ以来、僕は誰とも話さず、誰ともつるまず、高校生活を送った。なので、今思い出せる高校時代の人間は誰一人いない。唯一覚えているのは、タバコをすいながら帰っていたときに、たまたますれちがった校長の、ごみを笑うように僕を見たあのおびえた目。ほっておけば何もしないのに、ちょっかいをだしてきたメガネをかけたデブ。「殺すぞ」といったときのあのおびえた目。
そんな中、僕はバイト生活に夢中になった。働いた分、お金をもらう。このシンプルな目標が、その頃の自分に一番あっていたのだろう。友達もたくさん増えた。逆に敵もたくさん作った。だけど何も変化しなかった。シンプルなプランと同じ歩調で歩いていただけだ。ただ、楽しく笑うことのほうが、怒ることよりも多かっただろう。
しばらくして、酒の世界にのめりこんでいった。居酒屋のバイトのとき、たまたま併設していたバースペースに興味を持ち、バーテンの仕事に夢中になった。酒を飲んで、100を越えるカクテルを覚えた。帰りに友達の家に行き、朝まで飲んでタバコをすって、話して、笑った。確か、はじめて女のことで悩んだのもその頃だろう。きっと、そのころの時間は永遠に続くような甘ったるいものだった。
その居酒屋でしりあった「ゆかり」という女の子のことは今でも覚えている。彼女は僕の中でずっと「女の子」だ。彼女の家には問題があり、そのことを聞いてとても驚いたことを覚えている。自分の家がとてもめぐまれていたのだということを始めて知った。家に帰ったら母親がいて、晩御飯の香りがして、いつも温かいご飯を食べる。それが当たり前のように暮らしていた。だから、初め僕は彼女のことを理解できなかった。不安定な精神を持つ彼女を見ると、とても心が痛くなった。現実に負けそうな彼女の言葉を聴いて、カチンコチンに固めた僕の心が痛くなった。
彼女と会わなくなってからも彼女とは何度か手紙でやり取りをした。「会おう」と言われても会えなかった。彼女からの手紙は、僕が高校を卒業して、数年立っても忘れた頃に届いていた。彼女は手紙にいつも僕のことを書いていた。彼女が書く僕は、僕からしてみれば、嫌になるほどよわっちい人間だった。
「僕は死んだら大きな木になりたい。そして、じっと通り過ぎていく時間を眺めたい」
そんなこと言ったか忘れたが、彼女はずっとそのことを覚えていた。
僕はきっと彼女に恋をしていたのだろう。しかし、ただの恋愛感情ではない。彼女という赤の他人の存在を、僕ははじめて認めたのだろうと思う。死にたがっていたあの頃、自分に血が流れているか確かめたりしたこともある。それでも、彼女と出逢って、はじめて他人を認めることができた。それまでは自分だけを認めるので精一杯だった。僕は始めて人間に恋をした。ただ少し違うのは、彼女は僕の何かにふれようとふれようと一生懸命だったのに、僕は何もしていないことだ。好きとか嫌いなどではなく、うまくいえない僕と彼女のつながりには、恋という言葉を当てはめるとしっくりくる。
「ゆかり」から手紙が届かなくなってからしばらくが経ったある日、携帯のメールに彼女からのメールが届いていた。彼女は今度母親になるらしい。彼女と会わなくなってから、すでに8年以上が経っている。それぞれが違う時間を過ごし、それぞれが同じ空の下で生きていた。しかも彼女は新しい命を生み出そうとしている。
高校生の頃、いつも聞いていたアルバムMoody Bluesの「Seventh Sojourn」。これを聞くと、自分の叫びたくてもわからないことが、一気に開放されるような感覚になる。これは今聞いても全然変わらない。僕はこのアルバムをいつもいつも聞いていた。学校に行くときも、帰るときも、昼休みのときも、バイトから帰るときもずっと。
最近になって、「Seventh Sojourn」は彼女自身のアルバムのように感じるようになった。「Seventh Sojourn」は僕にとってそういうアルバムだった。

Moody Blues、アルバム「Seventh Sojourn」より
The Land Of Make-Believe
邦題:虚栄の世界
We’re living in a land of make believe
And trying no to let it show
Maybe in that land of make believe
Heartaches can turn into joy.
僕たちが生きるのは虚栄に満ちた世界
世界はいつもそれを隠そうとする
虚栄の世界では
心の痛みすら喜びに変えてしまう
We’re breathing in the smoke of high and low
We’re taking up a lot of room
Somewhere in the dark and silent night
Our prayer will be heard
Make it soon.
多い尽くされた霞んだ視界の中
僕たちはからまるようにそこにいる
暗闇と静寂が立ち尽くすどこかへと
僕らの祈りは届いていく
So fly little bird
Up into the clear blue sky
And carry the word
Love’s the only reason why
さあ鳥たちよ飛びたつといい
天高くつきぬけるような青い空へと
そしてこの思いを伝えて欲しい
愛こそこの気持ちのあらわれだということを
Open all the shutters on your windows
Unlock all the locks upon your doors
Brush away the cobwebs from your day-dreams
No secrets come between us anymore
Oh, say it’s true
Only love can see you through
You know our love can’t hurt you
すべて目の前に並べてごらん さぁ心を開いて
鍵なんて捨ててもっともっと心を開いて
妄想や空虚な残骸なんて払い飛ばせば
僕らのつながりに壁なんてなくなり
「真実だ」と伝えることができるよ
愛だけが透き通った心を映してくれて
みんな君を守ってあげるから

*
「ゆかり」の子供はもうすぐ生まれるという。新しい生命。新しい生命。
いつも遠くを眺めようとしたあの頃の自分。あの頃の自分。
「虚栄の世界」を聞くと、あの頃の自分が鮮明によみがえってくる。
そして何よりも1つのことに気がついた。とても簡単なこと。でも大切なこと。
忘れちゃならないこと。
おめでとう。
今も今も、2人とも生きていた。