巷説百物語

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巷説百物語 – 京極夏彦
江戸時代の絵師竹原春泉の「絵本百物語」に登場する妖怪を元に、
数々の謎めいた事件を描いた妖怪時代小説。
ちなみに「絵本百物語」は人間の醜い心を風刺したものであるらしい。
巷説百物語
妖怪を元に人間の悲しいサガを描いているミステリー小説だった。
この本には7種の物語があり、「小豆あらい」などおなじみの妖怪もでてくる。
百絵巻には数行の解説のようなものが書かれているのだが、
それを元にこういったミステリーを描くというのはとても面白い手法だと思った。
一番印象に残ったのが「帷子辻(かたびらがつじ)」という話だ。
京都の西にこの道はあり、そこには腐敗した死体が突然現れるという。
この物語の初めに「九相詩絵巻」と呼ばれるものが登場するのだが、
九相とは人間が死んでから土に返るまで、9つの姿を詩に詠んだものだ。
この物語がとても考えさせられるものだった。


その昔、壇林皇后と呼ばれる妃がいた。
妃が亡くなった時に、棺を覆った帷子がひらひらと舞い落ちたのがこの辻で、
辻の名前の由来となったとも言われる。
信仰厚き妃は死ぬ前に「私が死んだら亡骸をこの辻に打ち捨て、野にさらせ」と言い残した。
妃は誰からも慕われ、世に類なき人物だった。その妃の亡骸をどうして道に捨てれるだろうか。
妃はこういった。
「無常の二文字を体現せしめるためだ」
万物は変化し決して止まらなく、人生も人体もむなしいもの。
永遠なるものなど何もないのだと世に知らしめる為だということだ。
九相詩絵巻には人間が死に、腐り、犬などに食われ、骨となり、風化する様が描かれている。
初めは人間の形をしているが、死体は徐々に見にくく変化し、
生きていた頃の姿などを想像できなくなっていく。
諸行無常。
死んだら終わり。
#九相詩絵巻は小野小町壮衰絵巻とも呼ばれ、小野小町が書いたとも言われる。
(参考)九相詩絵巻(なぜにSRAのアドレスなんだろうか。。。)