花とアリス

感想おまちしてます!

daipresents2004-04-29
36時間の箱舟
前章:1日目
1日目が始まった。
いつになく高い空の下、少し冷たい風が着ているシャツをあおった。
海の上を歩くため海を目指す。
昨日調べたことは意味を持たず、導かれるがまま道を歩いた。
同じ道を何回も通るが、いつも感じるけだるさはなかった。
バスを待つ間も、時間はゆっくりと流れ、ただそれを眺めていた。
やがてバスに乗り、遠回りをしながら、バスはベイブリッジのスカイウォークについた。
網で囲まれた通路は少しの閉鎖感もなく、
休日の人ごみを拒むには十分だったのかもしれない。
足元には海が広がっている。
少しだけゆっくりと進む。
その姿はとてももろく、道に迷った子供のように切ない。
遠くには自分がいつもいる街が見え、夕暮れ前の寂しさを少し感じた。
時折立ち止まり、海を見下ろす。そこでこんなことを考える。
自分は海を歩いているのだ。
視界がひらけると、光がたくさんこぼれる展望台だった。
人影のまばらな展望台には、霞んだ空気が広がり、
一層、その空虚な空間を演出していた。
乗ってきたバスと違うバスでスカイウォークをあとにした。
いきあたりで決めた目的地から、
映画を見るために新宿へ急いだ。
場所:新宿スカラ
こじんまりした映画館。前の席が空いていたため
スクリーンはよく見えた。
「花とアリス」が岩井俊二作品の第1号だ。
高校生となった「花」と「アリス」。
セリフに感じ取れないセリフがとてもここちよい。
花が好きになった「宮下」と、アリスを交えた
一ページが懐かしく感じた。
映画は心を暖かくするものだった。
見た後の幸福感がたまらない。日常のやり取りの中に、
たくさんの思い出が隠れていた。
だれもがみな通る道。
そのときはその大切さに気が付かない。
花とアリス
花とアリス 特別版
ASIN:B0001AE1X6
映画の余韻に浸りながら、帰る電車に乗り、
途中で少しお酒を飲んだ。
休日のせいか、店はすいていた。
少し騒がしい居酒屋の独特な空間。
その中でも時間は止まらなかった。
電車がなくなり、歩いて大きな街道を進んだ。
時折通る車も、歩道まで伝わることがなかった。
「さまよっている」
そんな言葉がぴったりなのかもしれない。
夜風で酔いもさめ、タクシー見つけ帰っていった。
休日は始まったばかり。
もう2日目が始まりしばらくたっていた。
寝静まった空気の中、目のさえた僕は考え事をした。
そのときの自分ほど不思議な人間はこの世にいなかったのではないか
とさえ思える。
何かを思い出しては少し涙がにじみ、
時にはすんだ顔で夜空を見上げた。
もう朝は近い。
ずっとある胸の痛みが消えない。
この懐かしい感覚は、今の僕には考えられないものだった。
ただこのときは、痛みが消えなくとも時間がとまってほしいと天に願った。
感覚は完全に懐かしい学生時代におさまった。
探し物が見つからず、無意味に時間が流れることの恐怖。
そんな中でも、なぜか信じる未来。
あのころとまったく変わっていない。
日にちなどは意味を持たず、
つながった時間は永遠だと信じていたあの頃と。
今という時間だけを感じていた。
未来はまったく見えない。
それでも僕はこう思った。
神様がくれたわずかな時間でも、永遠はきっとある。
朝日の暖かさが部屋を包む。
それともう一つ、
例えようのないぬくもりが、
今の自分の勇気となった。